【森の防潮堤プロジェクト】瓦礫を活かす「森の防波堤」が命を守る


宮脇 昭「いのちを守る300キロの森づくり」
震災復興ガレキの山は貴重な地球資源
津波から生命と財産を守る切り札
ヘドロも木にとっては貴重な栄養分

(財)地球環境戦略研究機関 国際生態学センター
宮脇 昭(みやわきあきら)氏による、
震災によって出た大量のガレキを再利用し、
土地本来の本物の森による防潮林(防潮堤)の提案VTRです。

あざらしサラダさんが「森の防潮堤」についてスッキリまとめてくださったので、ご紹介!

GWも残すことあと二日、今日は42年振りに原発が全機停止するらしい。

先週、上京した際に購入した宮脇昭博士(横浜国立大学名誉教授)の著書「瓦礫を活かす「森の防波堤」が命を守る: 植樹による復興・防災の緊急提言 (学研新書)」を読んだので、以下にポイントをまとめてみた。

◆4月上旬、被災地を現地調査した宮脇氏は「森の防潮堤」作りの提言をとりまとめ、仙台市長や南三陸町長などに進言するとともに、内閣府まで出かけて政府の「東日本大震災復興構想会議」に提言を提出した。

●「森の防潮堤」作りの提言

◆提言から2ヶ月後の6月25日、「東日本大震災復興構想会議」は復興ビジョンをまとめた「復興への提言ー悲惨の中の希望ー」を菅首相(当時)に提出し、宮脇氏の提言は「鎮魂の森やモニュメントを含め、大震災の記録を永遠に残し」と反映された。

●「復興への提言ー悲惨の中の希望ー」

◆菅首相は「後世に残る重厚な提言を頂いた。最大限活かしてこれからの復興に当りたい」と語り、復興の基本方針を定め、2011年度第三次補正予算案に反映させるとしつつも、すでに退陣を表明している首相の求心力が落ちていることから、提言の実現が危ぶまれている。

◆「提言」に対する環境省からの質問事項と回答
Q:瓦礫には大きなコンクリート片とか違う大きさのものが含まれているがこれらの大きさはバラバラでも良いのか?
A:大きなものは子どもの頭ぐらいの大きさに砕いて(大きさは均質でなくても良い)土や砂利と混ぜながら盛ってゆく。

Q:瓦礫をそのまま埋めて、このようなマウンドをつくると強度に問題は出ないか?
A:新日鐵君津・名古屋・大分などの製鉄所の境界防災・環境保全林形成の実例が実証している。樹林帯の基礎としての強度は悪実に確保できる。

Q:穴を掘ってマウンドを作り瓦礫を埋めるという作業だけでも相当の作業量になり費用的にも安くないのでは?
A:埋立、焼却に較べて労力・作業量は格段に小さく費用的には将来の維持・管理コストに比してもはるかに安価である。

Q:土地の確保の問題もありこういう整備は困難では?
A:瓦礫のマウンド上の森は土地や費用をかけた埋立よりも持続的で多様な効果を持つ。このような防災森林は、いのちを守り地域経済と共生する。出来るところから直ちに実施する。

Q:照葉樹の生長の北限に近く岩手とか北の方では限界では?
A:現地調査とこれまでの調査結果では常緑広葉樹の再生は十分可能。これらの樹種は今回の大津波にも耐え、破砕効果によって抑制している事実を南三陸町、大船渡市でも確認。

Q:瓦礫には塩分を含んでいるものもあるが、塩抜きしてからでないと埋められないのか?
A:降水量の豊かな日本では表層からの雨水の浸透により早期に塩分は地中に流下する。したがって表層土部分から瓦礫などの「塩抜き」は不要。

Q:ヘドロが堆積しているところもあるが、ヘドロなどを混ぜて埋立てることは出来るか?
A:ヘドロは砂利や土、瓦礫などと良く混ぜ込むことにより、有効で重要な養分として利用が可能。木材瓦礫についても焼却すれば炭酸ガスが発生し、さらに有機物としての貴重な地球資源を失うことになる。土砂と混ぜてそのまま埋め込むことにより養分になり活用できる。

◆ドイツ、オランダなどでは州条例で木質系の廃棄物は焼却処理を禁じているところも少なくない。木片などの植物性有機瓦礫は焼却したり廃棄しないで、土と混ぜて森・緑地形成などに積極的に利用するよう条例などで決められている。

◆瓦礫をそのまま廃棄物として焼却、処分すべきかどうかについては慎重かつ多角的に検討すべき。被災者の思いでが詰まった品々も多く含まれている点に充分配慮するとともに、瓦礫の中にはこれからの復興活動に利用できるものがたくさんある。

◆毒性のあるものは除かなければならない。使えるものは選別して出来るだけ利用する。余分な経費やエネルギーを使わないで、それ以外の90%近くの瓦礫は焼かない、捨てないで、積極的に未来志向の地球資源として有効活用すべきであり、費用も大幅に軽減できる。

◆巨額の費用ややみくもに時間をかけないためにも、この度の未曾有の危機をチャンスに、世界に誇れる森の防波堤を、できるところから足元から作ってゆく。議論の時は終わった。今すぐ出来るところから、未来志向の地域経済と共生する「いのちの森」づくりを始めよう。

◆東北地方の海岸沿いに南北300キロメートルの「森の防波堤」をつくることによって、そこが「鎮魂の森」として忘れ得ぬ場所となる。また自然災害から人々を守り、暮らしを豊かにし、土地本来のふるさとの木によるふるさとの森として世界に誇る鎮守の森となる。

◆グローバルにはカーボンを吸収・固定し、地球温暖化を防ぐエコロジカルな森として、また貴重な環境資源ともなる。「森の防波堤」づくりは、必ず訪れる自身や津波から人々のいのちや暮らしを守るために、私たちが今すぐに実現できることである。

◆瓦礫を地球資源として使用する利点
●震災でなくなられた方々の例を慰める「鎮魂の森」として、海岸沿いに土砂などに混じっている採取困難な思い出の品々を埋めることによって、弔いと共に木質構造物を自然に帰す。
●毒物を取り除いた瓦礫を埋立てることによって、土壌中に酸素が溜まり、樹木の生長を促す。瓦礫を地球資源として有効利用することによって、処理費用の削減及び処理時間が短縮できる。

転載元: あざらしサラダ (愛知県がれき受け入れ問題) : 【森の防潮堤プロジェクト】瓦礫を活かす「森の防波堤」が命を守る.

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タグ: コスト, 廃棄物, 復興, 災害, 被災地, 防潮堤, 震災

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