◆放射能測定ボランティア養成講座に参加してきた


今日は「未来につなげる東海ネット」が立ち上げた市民放射能測定センターの測定ボランティア養成講座に参加してきた。

会場の名古屋生活クラブには20名近くのボランティア希望者が集まり、元愛知県衛生研究所環境物理科長の大沼章子氏を講師とし、「放射能と放射線」の基礎的な知識から「NaIシンチレーションスペクトロメーター」を使用した測定実習まで、3時間みっちりと講義が行われた。

私が参考になったのは「検出限界」に関することだ。検出限界は測定装置の性能だけでなくサンプル量と測定時間によって変わり、今回使用した測定装置(日立アロカ製:CAN-OSP-NAI)だと、1kgのサンプルでは10分間の測定で検出限界は各核種毎に30Bq/kgとなり、セシウム134とセシウム137がほぼ同量検出されている現状においては、放射性セシウム全体の検出限界は60Bq/kgになるという。

同じサンプル量で検出限界を下げるためには測定時間を長くする必要があり、測定時間と検出限界の関係は「二乗の逆数」のため、検出限界を1/6の10Bq/kgにするためには測定時間は6×6=36倍の360分=6時間にする必要がある。
(お米の検出限界は最低でも5Bq/kgにして欲しいと思うが、この測定機で検査する場合は1検体あたり24時間の測定時間がかかるということになる)

実習では、「ハードウェア調整」「バックグラウンド測定」「自動測定分析」の順に測定器のマニュアルに沿って操作した。はじめに実施した「ハードウェア調整」では、V11容器に詰めた塩化カリウム(校正用の放射性物質)を使用して測定器の校正を行い、これにより正確な測定データが得られるよう測定器を調整する。次に測定環境の「バックグラウンド測定」を実施し、測定データからバックグラウンドによる影響分を除外するよう設定する。最後に「自動測定分析」で、日時やサンプル等のデータを入力して測定を開始すると、後は機械が自動的に測定してくれるので、結果をプリントアウトするだけだ。

測定に当たっては、以上のとおりパソコンのメニュー画面に沿って必要なデータを入力するくらいで特に面倒な操作はなかったが、どちらかといえば測定器の操作よりもサンプルの扱いのほうが重要と思われた。特にV11容器の上部6ミリがフラットになるようにサンプルを容器に隙間なく詰める必要があり、コツを覚えるまでは苦労しそうな気がした。

【8/30:追記】ストロンチウムの測定について
これまでの食品検査ではヨウ素とセシウムばかりでストロンチウムの結果がほとんど発表されていないが、その理由について次の通り説明があった。
ストロンチウムはベータ線しか出さないがベータ核種は測定が難しく、化学分析によってSrを単離して測定するにしても、「単離操作」に1~2週間の時間を要するとのこと。トリチウムやプルトニウムも同様に「単離操作」に時間がかかる理由で測定されていないらしい。
全ての食品でこれらの核種を測定するのは無理としても、何割かの限定したサンプルだけでも測定する必要があるのではないかと思う。

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