愛知県の各自治体への新「要望書」案


2011/08/03版
【要望】放射能汚染された廃棄物を○○市で処分しないでください。
東日本大震災による災害廃棄物について、環境省は全国の自治体に処理を打診し、○○市でも???トンの受入が可能と回答、△△□□県知事も「放射性物質、有害物質は持ち込まない」との条件付きで××県の震災廃棄物受入れを表明しました。
しかし、東日本大震災と同時に発生した福島第一原発事故によって、福島県を中心に東北・関東地方の広い範囲が深刻な放射能汚染に見舞われました。これらの地域で様々なものの放射能汚染が問題になっており、災害廃棄物も例外ではありません。原子炉等規制法に “クリアランスレベル”という「放射性物質として扱う必要がない物」を区分する基準が定められていますが、この基準を超える災害廃棄物が存在しているのが現状です。
そういった災害廃棄物はクリアランスレベルに準じ、放射性廃棄物として相応の処分をするべきなのですが、災害廃棄物の処分を管轄している環境省は、「クリアランスレベルを時間当たりに換算すると0.001μSv/hとなり、自然放射線よりも低いレベルであるため、今回の災害廃棄物に当てはめることは適当ではない」という方針を示してしまいました。
これは非公開の第一回災害廃棄物安全評価検討会(※2)で決められたことで、十分に議論が尽くされているとも、広く国民の合意が得られているとも言い難いこの方針のために、本来ならば放射性廃棄物として厳重に管理・処分されるべきものが、通常の災害廃棄物として処分されてしまっています。(※3)
処分方法にも問題があります。
原子力発電所で発生した放射性廃棄物は、低レベルでも、放射性物質が拡散しないよう留意し、ドラム缶に詰めたり容器に固化したりといった処理の後、放射能レベルに合わせた場所に埋設処分されてきたのです。
しかし環境省は、「排ガス処理装置としてバグフィルター及び排ガス吸着能力を有している施設では焼却可能である」としてしまいました。(※4)
放射性物質は燃やしても無くなりませんので、焼却炉の排ガス・焼却灰に混じることになります。「焼却可能」とする根拠は示されていますが(※5)、大量の放射性廃棄物を既存の焼却炉で焼くという前代未聞の行為にあたって、十分な科学的検証が行われたとはとても思えません。既存の焼却炉は放射性廃棄物を燃やすことを前提に作られてはいないのです。
東京都の汚泥焼却施設近傍では、空気中にセシウムを含むダストが舞上がる「二次汚染」の可能性が報告されましたし(※6)、排ガス処理装置を含む焼却炉そのものが放射能汚染されることにより、メンテナンスに問題が出てくることも予想されます。もっと時間をかけ、詳細な科学的検証と様々な検討が行われるべきです。
また、環境省は、放射性物質が大量に含まれる焼却灰について、先日 決定したばかりの(※3)8000ベクレル/kgまでならば埋め立て可能という基準を、条件付きではありますが、100000ベクレルベクレル/kgまでに緩めることを検討しています。(※5)
放射性物質は究極の毒物であり、燃やしても埋めても無くならず、チリとなって大気を汚し、また土を汚します。いったん拡散してしまうと、回収・除染は非常に困難です。
周辺に住む私たち(特に子どもたち)、ごみ処理施設で処理にあたる方々、放射能汚染された廃棄物を運搬する方々、すべての人々の健康を守るため、そして避難中の被災者の方々が安心して暮らせるように、以下の6点を要望いたします。
1、放射能汚染された廃棄物については、最低でも、クリアランスレベルに準じた基準(目安としてセシウム134と137の合計で100ベクレル/kg程度)を早急に作り、それに準じた適切な処理をするよう国に働きかけること。(※6,※7)
2、廃棄物処理場の放射能汚染の現状確認、また放射能汚染された廃棄物の持ち込みを防ぐため、放射能測定機器を早急に導入すること。
3、被災地の災害廃棄物の受入れにあたっては、受入れるすべてのものをすべての核種において詳細に調査し、1で作った基準を満たしたものだけ受入れること。なお、受入れ前に調査結果を公表し、事前に市民の理解を得ること。また、受入れ後、実際に処分する前に市でも調査を実施し、安全を確認すること。
4、被災地の災害廃棄物だけでなく、汚染された地域から廃棄物を受入れる場合には、2と同様に放射能汚染されていないことを確認すること。
5、民間業者が受入れる廃棄物についても、市の責任で安全を確認すること。
6、廃棄物処理場の汚染状況や、受け入れた廃棄物処理以外に起因する地域の汚染の状況を継続的に調査把握し公開すること。公開したデータが、地域住民の理解を得られないレベルに達した場合は、その処分を速やかに中止し、受け入れ中止を含めて再検討をすること。
※ 1 第一回災害廃棄物安全評価検討会
※ 2 災害廃棄物の処理を再開する福島県の市町村について
※ 3 第三回災害廃棄物安全評価検討会
議事要旨
※ 4 第四回災害廃棄物安全評価検討会
※ 5 放射能汚染レベル調査結果報告書 東京都江東区における放射能汚染レベルと東部スラッジプラントが抱えている問題(山内神戸大教授)
※ 6 【原子力安全・保安院】原子炉等規制法におけるクリアランス制度について
※ 7 (セシウム134と137の合計で100ベクレル/kg程度)は、クリアランスレベルを算出するための目安となる放射線量の目安値10μSv/年を満たす放射能量の基準として「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第61条の2第4項に規定する製錬事業者等における工場等において用いた資材その他の物に含まれる放射性物質の放射能濃度についての確認等に関する規則」から導出される数値。
(法令改正があったため、最新のものを参照する際は、以下を読み替える必要あり
第2条 第1号の「別表」→「別表第1」
第2条 第2号の「同表」→「別表第1」
末尾      「別表」→「別表第1」)
※ 8 その他の資料
●汚染の広がりを示す情報
【JAEA】東京電力福島第一原子力発電所事故発生後2ヶ月間の日本全国の被ばく線量を暫定的に試算
[文科省]航空モニタリング(福島県)
[文科省]航空モニタリング(宮城県、追加資料)
[文科省]航空モニタリング(栃木県)
[国交省]下水汚泥等の放射能濃度測定結果(全国)
[宮城県]宮城県内の牧草及び稲わらの放射性物質測定結果に基づく対応について
[岩手県]原発事故後に水田から収集された稲わらの取扱い状況に関する全県調査結果について
[秋田県] 焼却灰処理施設の立入調査結果等について ~ 第1報 ~
(首都圏から運び込まれた放射能汚染された焼却灰が埋め立てられた処分施設内で通常の空間放射線量より高い数値が出ています)
[栃木県]本件産腐葉土からの放射性物質検出について
[山形県]道路側溝に堆積している汚泥の放射性物質放射能濃度について
●原子力発電所の廃棄物処理方法
【電気事業連合会】
●放射能汚染がれき問題についての報道
・環境ジャーナリスト 青木泰氏のレポート(環境省の有識者検討会の資料や、環境省担当者への取材から、汚染がれきの広域処理問題についてまとめた文書です。)


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タグ: 印刷物, 汚染, 瓦礫, 自治体関連の対応

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